ある夜
思いついて旅へ出た。
近くの駅まで歩いたものの、思いついて引き返し、仕事用のポンコツ軽トラに乗りこむ。そして翌日、気づいたら出雲大社の前にいた。
たくさんの美しい風景に見守られながら、胸にたまっていたものを吐き出し、新鮮な空気を吸いこむ。かけがえのない、いとおしい時間。
準備10分で飛び出したためか、寝袋を忘れていた。たまたま荷台に積んであったポールとネットで、テントとハンモックをつくり、海を眺めながら眠る。
旅人でもある庭師仲間と、たまにする会話。「日本中のお庭をまわって1年を過ごせたら、楽しいだろうね。1日お庭仕事をするのと交換に、お金ではなく食事と布団をお借りする。春は桜前線と一緒に沖縄から北海道まで北上してみたいね」
あとは、日本中に自分のお客さんをつくるのと、いつ出発するか、だけです。